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工場やビルの換気・排気・空調に使われるファン(送風機)には、24時間近く回り続ける設備もあります。長時間運転する設備では、電気代への影響も大きくなります。
風量の調整をダンパーの開閉だけで行っている場合、インバーター制御への切り替えで消費電力を大幅に減らせる可能性があります。当社が支援した誘引ファンのインバーター制御では、消費電力を約57%削減した事例があります(設備条件により効果は異なります)。
この記事では、ダンパー制御とインバーター制御の違い、省エネになる理屈、効果が出やすい条件と注意点、費用対効果の考え方、補助金活用までを解説します。
既存業者のお見積もりに対するセカンドオピニオンのご相談も承っています。
目次
既設のファンでよく見かける風量調整の方法は、次の3つです。
ダンパー制御では、風量を絞ってもファンは全速で回り続けます。絞った分のエネルギーは抵抗として失われます。これに対してインバーター制御は、ファンの回転数を落とし、必要な風量だけを送る方式です。
既設ファンをダンパーで絞って運転している場合は、インバーター化の効果が出やすい状態です。
ファンやポンプのような流体機械では、回転数と風量・動力の間に次の関係が成り立ちます(相似則)。
消費電力が回転数の3乗に比例するため、回転数を少し落とすだけで電力は大きく下がります。
風量を80%に抑えられれば、理論上は消費電力が約半分になります。ダンパーで風量を80%に絞る場合と比べ、インバーター制御のほうが消費電力を抑えられます。
なお、この表は理論値です。実際の削減率はインバーターの損失や系統の圧力条件、制御方式により理論値を下回ります。
当社が省エネ改修を支援した誘引ファン(排ガスを吸い出すファン)では、インバーター制御の導入により、消費電力を約57%削減した事例があります。
削減につながった要因は、全速運転+ダンパー調整から、必要な吸引量に合わせた回転数制御へ切り替えたことです。誘引ファンや排気ファンのように、負荷の変動に備えて余裕を持たせた全速運転をしている設備は、削減余地が大きい傾向があります。
(削減効果は設備の容量・運転条件によって変わります。個別の試算はお問い合わせください)
うちのファンでも削減できる?と思ったら
運転状況をお聞かせいただければ、削減余地の見立てと個別試算をご案内します。
効果が出やすい条件:
効果が出にくい条件:
なお、風量が固定でよい設備なら、プーリー交換(減速比の変更)で回転数を落とす方が安く済む場合もあります。風量が変動する設備ではインバーターが候補です。風量を固定できる設備では、プーリー交換も比較してください。
ファンは風量を絞りすぎると、脈動を伴う不安定な運転状態(サージング)に入ることがあります。回転数の下限設定や運転範囲の検討が提案に含まれているかを確認してください。
回転数を連続的に変えると、設備の固有振動数と一致する回転数域を通過・滞在し、振動が大きくなる場合があります。周波数ジャンプ機能で該当する回転数域を避けられますが、試運転時の振動確認が必要です。
ベルト駆動のファンでは、回転数変更に伴うベルトの滑りや張りの再調整が必要になる場合があります。
インバーター駆動では急峻な電圧(サージ電圧)がモータにかかるため、古いモータでは絶縁への影響を確認する必要があります。必要に応じてサージ抑制フィルタやモータ更新を検討します。
インバーターは高調波・ノイズの発生源になるため、周辺機器への影響と対策(リアクトル等)の要否を確認します。また、粉塵や高温の環境では盤の防塵・冷却対策が必要です。
インバーター故障時にファンを止められない系統では、商用電源に切り替えて運転を継続するバイパス回路を検討します。見積もり比較の際は、バイパス回路の有無で金額が変わる点に注意してください。
既存業者の提案内容、この6項目でチェックできていますか?
お手元のお見積もりを第三者の視点で確認する、セカンドオピニオンのご相談を承っています。
次の試算は、仮定を置いた計算方法のサンプルです。
試算の前提(すべて仮定値):
計算:
工事費は、設備容量や盤改造の範囲、バイパス回路の有無などで変わります。年間削減額と比較して回収年数を見積もるのが基本です。この試算は理論値ベースの目安であり、実際の効果を保証するものではありません。投資判断には実際の運転データに基づく個別試算が必要です。
自社のファンで、いくら削減できるか知りたい方へ
運転データに基づく個別の省エネ試算を承っています。稟議資料にもお使いいただけます。
ファン・送風機のインバーター制御は省エネ改修にあたるため、省エネ関連補助金の活用を検討できます。
経済産業省系の省エネ補助金「省エネ・非化石転換補助金」は、工場・事業場の省エネ投資を支援する制度です。旧・省エネルギー投資促進支援事業にあたり、執行団体は環境共創イニシアチブ(SII)です。過年度実績では補助率1/3以内などの水準で運用されてきました。申請区分によって対象設備の考え方が異なるため、ファンのインバーター化がどの区分で対象になるかは、2026年度の最新公募要領(sii.or.jp)での確認が必要です。活用を検討する場合は、早めに公募スケジュールを確認してください。
都内に事業所がある中小企業等は、東京都の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」も候補です。2026年度(令和8年度)の申請受付は、第4回が2026年9月16日〜10月2日、第5回が11月9日〜11月20日、第6回が2027年1月18日〜1月29日に予定されています(2026年8月時点の公表情報)。インバーター制御装置が対象設備に含まれるかは、公募要領の対象設備リストでご確認ください。
どの制度を使えそうか、自社設備が対象になりそうかといった判断も、当社の補助金申請サポートでお手伝いしています。
うちの設備は補助金の対象になる?
対象可否の見極めから省エネ試算・申請書類の作成サポート・工事までを一括でお手伝いしています。
補助金を使う場合、工事は交付決定後にしか始められません。標準的な流れは次のとおりです。
東京都ゼロエミ補助金の第5回(2026年11月9日〜20日)に申請するなら、9月中に現地調査と試算を行い、10月に稟議と書類準備を進めます。工事完了期限との兼ね合いを考えると、余裕のある公募回を選ぶのが安全です。
ダンパー制御のままではダメですか?
ダンパー制御でも風量の調整はできますが、モータは全速で回り続けるため電力削減効果はわずかです。絞り運転の時間が長いほど、インバーター制御に切り替えたときの削減幅が大きくなります。
ファン本体の交換は必要ですか?
基本的にはファン・モータはそのまま使い、制御盤側にインバーターを追加します。ただし古いモータは絶縁の確認が必要で、場合によってはフィルタ追加やモータ更新を併せて行います。
どのくらいの削減が見込めますか?
運転状況によります。理論上は風量80%運転で約49%の削減ですが、実際は系統条件により下回ります。当社が支援した誘引ファンでは、約57%削減した事例があります(設備条件により異なります)。まずは現状の運転データからの試算をおすすめします。
換気量が法令で決まっている場合も導入できますか?
できます。必要換気量を下回らないよう回転数の下限を設定したうえで、余剰分だけを削る制御設計にします。法令要件の整理も含めて設計段階で確認します。
ファン・送風機のインバーター制御は、消費電力が回転数の3乗に比例する特性を利用した省エネ改修です。ダンパーで絞って運転している設備ほど効果が出やすくなります。一方、サージングや共振などファン特有の注意点があるため、運転データに基づく設計と試算が欠かせません。
スリーベネフィッツでは、省エネ診断・削減試算から補助金の対象可否確認・申請サポート・施工までを一括でお手伝いしています。
こうしたご相談からで構いません。お気軽にお問い合わせください。
ファンの省エネ、次の一歩はここから
どちらの段階のご相談でも構いません。現状の確認からお手伝いします。
省エネ試算・見積もり相談
運転データに基づく削減試算、既存業者のお見積もりへのセカンドオピニオンを承ります。
補助金の対象可否を確認
省エネ試算から申請書類の作成サポート・工事までを一括でお手伝いします。
補助金の補助率・対象設備は年度・公募要領により変わります。最新情報のご確認もあわせてサポートします。
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