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ポンプのインバーター化による省エネ効果と注意点|費用対効果と補助金活用まで解説

ポンプのインバーター化による省エネのイメージイラスト

「既存の設備業者からポンプのインバーター化を提案されたが、本当に効果があるのか」「電気代削減の手段と聞いたが、うちのポンプに向いているのか分からない」。設備担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。

ポンプのインバーター化は、条件が合えば消費電力を大きく減らせる改修です。一方で、ポンプの使われ方によっては効果がほとんど出ないケースもあり、「インバーターを付ければ必ず省エネになる」わけではありません。

この記事では、省エネになる仕組みと理論上の削減率、効果が出やすい・出にくい条件、導入前の注意点、費用対効果、補助金活用の進め方を解説します。自社のポンプがインバーター化に向いているかを判断する際にお役立てください。

この記事でわかること
  • 消費電力が回転数の3乗に比例して下がる仕組み(理論値の早見表つき)
  • 効果が出やすいポンプ・出にくいポンプの見分け方
  • 見積もり比較に使える6つの注意点チェックリスト
  • 2026年度に検討できる補助金と、公募日程から逆算したスケジュール

既存業者のお見積もりに対するセカンドオピニオンのご相談も承っています。

ポンプのインバーター化とは

インバーター化とは、ポンプを駆動するモータの電源にインバーター(周波数変換装置)を設置し、モータの回転数を変えられるようにする改修です。基本的にはポンプ本体やモータをそのまま使い、制御盤側にインバーターを追加します。

多くの既設ポンプは、モータが常に定格回転数で回り続け、流量の調整はバルブ(弁)の開度で行っています。この方法では、モータを全速で回したままバルブで流量を絞るため、絞った分のエネルギーが配管抵抗として失われます。

インバーター化すれば、必要な流量に合わせて回転数を下げ、不要なエネルギー消費を抑えられます。

ポンプのインバーター化による省エネのイメージイラスト

なぜ省エネになるのか:回転数と消費電力の「3乗則」

ポンプやファンのような流体機械には、回転数と流量・動力の間に次の関係があります(相似則)。

  • 流量は回転数に比例する
  • 圧力(揚程)は回転数の2乗に比例する
  • 軸動力(消費エネルギー)は回転数の3乗に比例する

省エネ効果に直結するのが3つ目の関係です。消費電力が回転数の「3乗」に比例するため、回転数を少し下げるだけで消費電力は大きく下がります。

回転数流量理論上の消費電力理論上の削減率
100%100%100%
90%90%約73%約27%減
80%80%約51%約49%減
70%70%約34%約66%減
60%60%約22%約78%減

回転数を80%に落とすだけで、理論上は消費電力が約半分になる計算です。

ただし、この数値はあくまで理論値です。実際の削減率は、インバーター自体の損失、後述する実揚程の影響、制御方式などにより理論値を下回ります。3乗則どおりの削減を保証するものではありません。回転数制御による省エネ効果の目安として捉えてください。

効果が出やすいポンプ・出にくいポンプ

インバーター化の効果は、ポンプの用途と運転方法でほぼ決まります。

効果が出やすいのは次のような条件です。

  • バルブで流量を絞って運転している時間が長い(絞り運転が常態化している)
  • 季節や時間帯で必要流量が変動する(冷却水、空調用冷温水、給水など)
  • 年間の運転時間が長い(目安として数千時間以上)
  • 循環系統で、配管の摩擦損失が抵抗の大部分を占めている

逆に、次のような条件では効果が出にくいか、ほとんど出ません。

  • 常に定格流量で運転する必要がある(絞る余地がない)
  • 高い場所への揚水など、実揚程(持ち上げる高さ)が配管抵抗より支配的な系統。この場合、回転数を下げると必要な揚程を確保できなくなるため、3乗則どおりには電力が下がりません
  • 運転時間が短い(削減額が小さく、投資回収に時間がかかる)

まず、バルブの開度と運転時間の記録を確認しましょう。バルブが常に半開程度で運転しているようなら、インバーター化の有力な候補と考えられます。

導入前に確認したい6つの注意点

インバーター化の提案や見積もりを検討する際は、次の点を確認してください。

1. 最低回転数の下限設定

回転数を下げすぎると、ポンプ内部の冷却・潤滑が不足したり、必要な揚程を確保できず流れが止まったりするおそれがあります。系統ごとに安全な最低回転数を設定する必要があるため、提案に下限値の検討が含まれているかを確認してください。

2. 既設モータとの相性(絶縁への影響)

インバーター駆動では、モータに急峻な電圧(サージ電圧)がかかり、古いモータでは絶縁劣化が早まる場合があります。既設モータをそのまま使う場合は、製造年式と絶縁仕様を確認し、必要に応じてサージ抑制フィルタの設置やインバーター対応モータへの更新を検討します。

3. 高調波・ノイズ対策

インバーターからは高調波電流やノイズが発生します。同じ系統に精密機器や計装設備がある場合は、リアクトルやフィルタの設置要否を確認してください。受電設備の規模によっては高調波抑制対策ガイドラインへの対応が必要になることもあります。

4. 故障時のバックアップ(商用バイパス)

インバーターが故障するとポンプが止まります。停止が許されない系統では、故障時に商用電源へ切り替えて運転を継続できるバイパス回路を設けるのが一般的です。見積もりを比較する際は、バイパス回路の有無を確認してください。

5. 制御方式の選定

制御方式では、回転数を何に合わせて変えるかを決めます。吐出圧力を一定に保つ方式、末端の圧力を推定して必要最小限まで下げる方式などがあり、選定によって省エネ効果が変わります。単に「インバーターを付ける」だけでなく、制御方式まで提案されているかを確認してください。

6. 設置環境

インバーター本体は熱と塵埃に弱い機器です。設置場所の温度・粉塵環境によっては、盤の冷却や防塵対策が追加で必要です。

複数社の見積もりを比較する際は、各項目の有無をチェックしてください。項目の違いが金額差につながることがあります。

📋

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費用対効果の考え方(試算例)

投資判断では、「年間の電力削減額」と「工事費」を比較します。以下は、仮定値による試算例です。

試算の前提(すべて仮定値):

  • 冷却水ポンプ 22kW、年間運転時間 6,000時間
  • インバーター化後、平均して回転数80%相当で運転できると仮定
  • 電力単価 25円/kWh と仮定

計算:

  • 現状の年間消費電力量: 22kW × 6,000h = 132,000kWh(年間電力料金 約330万円)
  • インバーター化後(理論値): 132,000kWh × 0.512 = 約67,600kWh
  • 年間削減額: 約64,400kWh × 25円 = 約161万円/年

仮に工事費一式が300万円だった場合、単純回収年数は約1.9年です。

この試算は理論値ベースの目安であり、実際の削減効果を保証するものではありません。実揚程の影響や運転パターンによって効果は変わるため、投資判断の際は実際の運転データ(流量・バルブ開度・運転時間)に基づく個別試算が必要です。当社では現地の運転状況を確認したうえでの省エネ試算を承っています。

🧮

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運転データ(流量・バルブ開度・運転時間)に基づく個別の省エネ試算を承っています。稟議資料にもお使いいただけます。

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補助金は使えるか

ポンプのインバーター化は省エネ改修にあたり、省エネ関連の補助金を活用できる可能性があります。2026年度の主な候補は次のとおりです。

国の省エネ補助金(省エネ・非化石転換補助金・SII)

経済産業省系の省エネ補助金「省エネ・非化石転換補助金」は、工場・事業場の省エネ設備投資を支援する制度です。旧・省エネルギー投資促進支援事業にあたり、執行団体は環境共創イニシアチブ(SII)です。過年度実績では補助率1/3以内などの水準で運用されてきました。

ただし、申請区分によって対象設備の考え方が異なります。ポンプのインバーター化がどの区分で対象になるか(単体設備の入替型か、事業場全体の省エネ計画型か)は、年度の公募要領によって変わります。2026年度の区分・対象設備・補助率は、必ず最新の公募要領(sii.or.jp)でご確認ください。活用を検討する場合は、早めに公募スケジュールを確認してください。

東京都のゼロエミ補助金(都内の中小企業等)

都内に事業所がある中小企業等は、東京都の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」も候補になります。2026年度(令和8年度)の申請受付は、第4回が2026年9月16日〜10月2日、第5回が11月9日〜11月20日、第6回が2027年1月18日〜1月29日に予定されています(2026年8月時点の公表情報)。

インバーター制御装置が対象設備に含まれるかどうかは、公募要領の対象設備リストでの確認が必要です。

共通の注意点

  • 交付決定前に発注・契約した工事は補助対象外になるのが原則です。「先に工事、後から申請」はできません
  • 補助率・上限額・対象設備は年度・公募要領により変わります。本記事の記載は執筆時点の情報に基づく目安であり、確定した内容ではありません

自社の設備が対象になりそうか、どの制度が合いそうかといった見極めも、当社の補助金申請サポートでお手伝いしています。

💡

うちの設備は補助金の対象になる?

対象可否の見極めから省エネ試算・申請書類の作成サポート・工事までを一括でお手伝いしています。

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導入までの逆算スケジュール

補助金を使う場合、工事は交付決定後にしか始められないため、スケジュールは公募日程から逆算して組みます。標準的な流れは次のとおりです。

補助金の公募日程から逆算して準備を進めるスケジュールのイメージイラスト
  1. 現地調査・運転データの確認(申請の2〜3ヶ月前)
  2. 省エネ試算・見積もり取得・社内稟議(申請の1〜2ヶ月前)
  3. 公募期間内に申請
  4. 交付決定(申請から数週間〜数ヶ月。制度による)
  5. 発注・工事
  6. 実績報告・補助金受領

たとえば東京都ゼロエミ補助金の第5回(2026年11月9日〜20日)を狙うなら、9月中に現地調査と試算を行い、10月に稟議と申請書類を準備します。年度末の公募回は工事完了期限との兼ね合いもタイトになりやすいため、1回早い公募回を狙うのが安全です。

よくある質問

インバーターを付ければどのポンプでも省エネになりますか?

なりません。常に定格流量で運転しているポンプや、実揚程が支配的な系統では効果がほとんど出ません。バルブで絞って運転している時間が長いポンプほど効果が大きくなります。まず現状の運転状況(バルブ開度・運転時間)の確認をおすすめします。

ポンプ本体やモータの交換も必要ですか?

基本的にはポンプ・モータはそのまま使い、インバーターを追加します。ただし、古いモータは絶縁の観点でインバーター駆動に適さない場合があり、その際はサージ抑制フィルタの追加やモータ更新を併せて検討します。

効果はどのくらいで回収できますか?

運転時間・絞り具合・電力単価によって大きく変わります。絞り運転が常態化している長時間運転のポンプでは数年以内の回収例が多い一方、運転時間が短い設備では回収に時間がかかります。個別試算が前提です。

補助金の申請は自社でできますか?

申請自体は自社で行えますが、省エネ効果の計算書類や見積もりの整理など、準備には一定の工数がかかります。当社では省エネ試算から申請書類の作成サポート、工事までを一括してお手伝いできますので、担当者の工数を抑えたい場合はご相談ください。

まとめ:まずは「効果が出るポンプかどうか」の確認から

ポンプのインバーター化は、消費電力が回転数の3乗に比例する特性を利用した省エネ改修です。ただし、効果はポンプの運転条件に左右されます。導入前の見極めに加え、注意点を踏まえた設計と見積もり比較が欠かせません。

スリーベネフィッツでは、省エネ診断から補助金の対象可否確認・申請サポート・施工までを一括でお手伝いしています。

  • 既存業者の提案や見積もりが妥当か、第三者の視点で確認したい
  • 自社のポンプで効果が出るか、試算してほしい
  • 補助金の対象になるか知りたい

こうした段階のご相談も歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

省エネ試算や見積もりの相談に応じるスタッフのイメージイラスト

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補助金の補助率・対象設備は年度・公募要領により変わります。最新情報のご確認もあわせてサポートします。

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